行為能力とは「単独で確定的に有効な法律行為をなしうる能力」であって、制限行為能力者は、民法の規定において、読んで字の如く行為能力に制限が設けられている者のことです。これは、事理弁識能力に乏しい制限行為能力者自身や、その取引の相手方の保護にその趣旨があるものと見ていいでしょう。では制限行為能力者や取引相手を守るため、どういった人物にどういった権利が認められているのでしょうか。
制限行為能力者A氏(といっても、様々な種類の制限行為能力者が規定されますが、まずおおまかなイメージを想像するためザックリこのように表現します)が、相手方B氏と取引をしたと想定します。この取引において、法律行為が有効に成立するために、制限行為能力者の保護者の同意が必要な場合があります。また、この取引が制限行為能力者にとって著しい不利益を生ぜしめる場合にはその保護者はこの取引を取り消すよう働きかけますし、取引の相手方B氏が取引を履行してくれないためにシビレをきらして催告をしてくる場合もあります。なお、催告を受けた制限行為能力者や保護者が確答を発しない場合には追認とみなされる場合があり、取り消すことが出来なくなってしまいます。また、制限行為能力者は単独で行為を行うことの出来ない人物なわけですから、代理で行為を為すこともあります。
ちなみに追認とは、「取り消しうる行為を有効な行為として確定させる意思表示」で、これを為すことで取消しを行うことが出来なくなります。
上記の緑色で記された権利が、各登場人物に認められます。即ち、同意権、取消権、代理権、催告権、追認権です。
催告権は上の例でも見たように、取引の相手方に認められる権利です。催告の末に確答が得られなかった場合、殆どが追認したこととみなされますが、被保佐人・被補助人が行った行為につき、被保佐人・被補助人本人に対して、「保護者に追認を得る」ように催告をした場合に確答がなければ取消しとなる点に注意です。被保佐人・被補助人が行った行為につき、保護者に対して催告を行って確答がない場合は追認になるので、間違いやすいポイントです。
長くなってしまうので、取消権や同意権などについては次回にまわします…。
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